今回は、既に絶版車となっている今でも人気の高いフルサイズバン、シボレー・エクスプレス スタークラフトです。
「スタークラフト」はアメリカで内外装のカスタムを行う”コンバージョン”メーカーとして定評のある企業です。
ご相談内容ですが、エアコンのモード切り替えが作動していないようで吹き出しが正常に行われないという内容でした。このエクスプレスはエアコンのモード切り替えを電子的に行うのではなく、エンジンルームないのエアタンクに蓄積される圧縮空気(バキューム)を使って行う仕様です。そのため、疑いが高くなった箇所がモードスイッチ付近です。
バキュームはゴムホースで力が伝達される仕組み、ジョイントで分岐され作動する形です。早速ジョイントを分解して点検すると、バキュームが確認できません。辿っゆくとファイアーウォーから先の部分でバキュームが途切れていることを確認。
となると後が大変です。まずエンジンルーム内よりバキュームラインを探し出します。バキュームタンクはバッテリートレイの下部にありますが、よく見ると配管が抜けているではありませんか。さらに配管ゴムを確認すると経年劣化によるヒビ割れで強度も低下しています。このままでは改善する見込みがないことから、配管の引き直しを決断します。
バキュームラインの引き出し口はエンジンルーム内の「インテークマニホールド」の奥にあるため、外側からの作業が困難です。エクスプレスは室内側の前方中央部下がエンジンルームとなっているため、室内側からエンジンを覆っているフードを取り外します。しかしさすがはコンバージョンモデル、室内にはカーペットが敷き詰められているため慎重に作業を行なってゆきます。
エンジンフードが外れたら、先ほど発見しておいたバキュームラインの再構築作業を開始します。今回は次回同様の不具合が起こった際のことも考え、配管がし易く確認が用意となるように配管位置を変更させていただきました。この症状は再発するのではなく、配管ゴムの劣化により発生するため素材の性質上致し方ない部分でもあります。これで次回は簡単に作業が行えるはずです。
オーナー様は今回ご入庫の前に吹き出し不要の原因を「ブロアレジスター」(送風機)と思い交換されていたようですが、今回の症状とは関係のないパーツでした。不用意に交換されると根本原因に辿り着けず不要な出費となる可能性があります。もし今回症状初期でご入庫いただけていれば時間も費用も最小限にできた可能性があります。
ご自身で判断せず、不具合が発生したらまず当工場にご相談ください。
整備データ
[ 車 両 ] 2011年式 シボレー・エクスプレス スタークラフト
[ 作業内容 ] エアコン吐き出し不要
[ 価 格 ] お問合せください