果てしなく広がるアメリカの大地を力強く駆け抜けたい。島国・日本にいると、イメージをアメリカにワープさせ、壮大な夢を抱くカーフリーク少なくないはずです。
何を隠そう僕も、古くからアメ車ファンであり、社会人になってはじめて購入したのは「ポンティアック・トランザムGTA」です。本心を吐露するならば、コルベットかカマロを希望していたのですが、たまたま従兄弟が所有していた上玉を譲り受けることができたという経緯があり、トランザムが僕の人生初めてのアメ車になったのです。
ちなみに、アメリカ車を「アメ車」と呼ばれることに抵抗のある御仁も少なくありませんが、僕はあえて誇りと愛着を持って、自ら愛車を「アメ車」と呼んでいます。その言葉からは広大なアメリカな大地を疾走する姿が想像できるからですね。
そんなアメ車フリークですから、当然のごとく搭載するパワーユニットはV型8気筒6.2リッターがベストチョイスとなるはずです。ところがカマロに関してそう決めつけるのもどうかと思っています。
というのも、カマロにはもちろん、大排気量の”ブイエイト”がラインナップしていますが、直列4気筒2リッターターボも準備されているのです。今回試乗車に選んだBUBU所有の「カマロLT RS」は、¥6,680,000〜と、とてもリーズナブルなブライス設定がされているのですからウズウズしますよね。
実際に、若者の多くがこのLT RSを購入していると聞きます。歳を重ねた方々は大排気量ブイエイトに食指を伸ばすらしいのですが、固定観念のない世代は2リッターモデルに興味津々なのだそうです。それも納得です。
というのも、V型8気筒6.2リッターユニットは確かなパワフルですが、直4気筒2リッターもターボのアシストがあるのでパワー不足は感じません。最大トルクは400Nmもあります。ターボだとはいえ、低回転からトルクフルです。アメ車流のユルユルした走りにも適しているのです。
パワーユニットそのものが軽量コンパクトであることで、フットワークは軽快です。ドカンとパワーを炸裂させて突き進むだけではなく、ワインディングを軽快に駆け抜けることができるのもLT RSの魅力なのですね。
ブレンボの大径ブレーキはハイパフォーマンスですからストッピングパワーに手抜かりはありません。20インチのホイールもファットなタイヤも力強さの象徴です。
また、内外装はカマロらしさを十分に漂わせています。広大なアメリカを突き進む姿が頭に浮かびます。コクピットに座った瞬間に、個性的なカマロワールドに叩き込まれます。実はその感覚が最大の魅力のような気がしているのです。
とはいうものの、少々残念な報告をしなければなりません。コルベットとともに、シボレーのスポーツモデルの象徴であり、これまで多くのアメ車ファンを魅了してきたカマロが絶版車になるというのです。
本国ゼネラルモータースから2025年モデルのアナウンスがありません。2024年を最後に生産をが終わるというのです。現在、日本国内で購入できる新車は、「シボレー ミツオカ ディーラーグループ」を中心としたゼネラルモーターズジャパン正規ディーラーが在庫している車両限りとなっているそうです。
カマロはコルベットと並ぶ、アメリカンスボーツの代名詞ですが、その一翼が消えるのは寂しい限りです。
最後のカマロのオーナーになるというのも粋かもしれませんね。
2024年12月22日までにシボレー・カマロ LT RSの新車を購入すると、3年後の下取り(買取)額を60%保証するミツオカディーラーグループだけの特別プラン「MITSUOKA 60 PLAN」が提供されます。
※このプランは「シボレー ミツオカ ディーラーグループ」以外のゼネラルモーターズジャパン正規ディーラーでは適用されませんのでご注意下さい。
木下隆之(きのした たかゆき)
1960年5月5日、東京都出身。日本のレーシングドライバー、作家、自動車伝道師。日本自動車ジャーナリスト協会会員。国内外のツーリングカーレースや耐久レースで活躍。特にニュルブルクリンク24時間レースへの挑戦は1990年の日産・スカイラインGT-Rに始まり、還暦を過ぎた2022年時点で参戦回数は日本人ドライバー最多。2022年は『Schubert Motorsport #880 BMW M2CS Racing』にてクラス優勝を果たした。
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