21世紀に輝く名車候補の筆頭
ヘルキャットエンジンの凄さは707hpと耐久性の良さ
文/石山 英次写真/古閑 章郎
ここ最近、特にコロナ禍以降でアメ車ショップの方々と話す時の話題の中心は常にダッジ チャレンジャーである。
「ほんとよく売れますよね」「個体が少なく値上がりしてきたんですよ」「モデルチェンジしないんですかね」etc
要するに、チャレンジャーは今、日本のアメ車販売市場の中心的存在であり、とはいえ日本にある中古車個体はどんどん減っているから希少価値が高まり値上がりし始めているというもの。くわえてこの先のフルモデルチェンジの予定が早く知りたいという。
弊社事務所があるのは中央区の勝どきなのだが、驚くことに事務所近くの一般道でもチャレンジャーを見る機会が大いに増えているし、とにかく都内でもよく見かけるというのが最近の印象であるから、上記中古車店のスタッフが言う「売れてる」という話もあながち大げさとは言えないと思っている。
さらに別店では、「今、チャレンジャーオーナーが別のチャレンジャーに乗り換えている」という話もあった。
たとえばチャレンジャーのR/Tに乗っていた方が、6.4Lに乗り換える。もしくは6.4Lのオーナーさんがヘルキャットに乗り換える、というような話。
すなわち、チャレンジャーの後に乗り換えるべきクルマが見つからないから、チャレンジャーの別バリエーションに乗り換えるというもの。チャレンジャーオーナーの中では、5.7R/T、6.4L、ヘルキャットという簡単な序列があり、ステップアップするのも良い、という認識なのだろう。
個人的にもチャレンジャーに乗るなら6.4Lかヘルキャットかで迷う。どちか1台というなら、6.4LのMT車に(たぶん)するだろうが、ヘルキャットも一度は所有してみたいと思っているから、恐く究極的に迷うだろう。
だから実際に買うなら、生涯最後のアメ車として、そのどちらかに乗り続ける覚悟で購入するに違いない。
ちなみに、ヘルキャットにもMT車が存在するから、MT車をチョイスするという選択肢もなきにしもあらずだが、これまでに試乗した経験から言えば、ヘルキャットはAT車の方が似合うと感じている。
さて、ヘルキャットの凄さだが、それはいわずもがな圧倒的なパワーである。が、個人的に一番評価しているのが、トラブルのない707hpというところ。一昔前ならチューニングカーでも出せない馬力である。
そんなハイパワーでも本国では5年10万マイルのメーカー保証が付いているほどだから、メーカー自身も相当自信を持っているわけである。しかもその後に続くFCA車両の怒涛の707hp攻撃が凄かった。
チャージャー、グランドチェロキー、デュランゴにも707hpを載せ、コンセプトカーではジープ ラングラーにも搭載。つい最近ではラムトラックにも707hpエンジンを搭載して市販しているわけだから、これこそが通称ヘルキャットエンジンの凄さと耐久性の証明である。
さて取材した個体であるが、2018年型で約2万キロ走行車。オクタンレッドのボディカラーに20インチのSRTブラックホイールが装備された1台。
オクタンレッドは、マッスルカー的な原色の赤と異なり、どちらかというと大人なレッド。ワインレッドとも言えるだろう。だから、女性にも似合うと思うし、品を感じさせるから大人な男にこそ似合うかもしれない。
チャレンジャーに関しては、売れ線の白黒ボディカラーというのはあまり通用しないということだから、特にBCDではこうしたカラーリングのチャレンジャーが多いことも魅力であり、他では見かけないチャレンジャーを望まれる方が多いというのも特徴である。
なお、この車両を購入した時点で約80キロほど試乗し、程度の確認を行っている(というかBCD車両はすべて行われている)。その時点で何らかの点が見つかれば、本国保証の範囲にて現地ディーラーでの整備がなされた状態で日本に持ち込まれているから、安心感が違う。
BCDが高年式の車両を扱う理由もそこにあり、高年式=本国保証範囲内であるから、カリフォルニアにあるBUBUの支社にてそういったもろもろの確認や検査、および整備が行われ、日本に持ち込まれている。だから、日本に来て不具合が起きるということが限りなく少ないのである。
最後に。ヘルキャットは、同じチャレンジャーの姿をしてはいるが、R/Tや6.4Lとはまったくの別物であり、同時に、アメ車以外のパフォーマンスカーと比較しても作り、性能、あらゆる面において優っており、だからR/Tや6.4Lから乗り換える意味が十分にある存在だと言えるのである。