BCDは車両の「コンディション」にこだわり改善作業の「精度」にこだわる
GM、ダッジ、フォード問わず現代の最新車両にも対応可能
文/石山 英次写真/古閑 章郎
つくばショールームのメカニックを務めている飯島氏。かつてジープディーラーに勤めていた経験を持ち、メカニックとして働き始めた時点からジープブランドの電子デバイス(ワイテック1.0&2.0)を駆使した修理&点検を行っていた。
だから、最新のアメ車全般的に必要とされているメカニックの技能、すなわち「電子デバイスに基づいた故障診断」に何ら違和感なく取り組め(メカニックになりたての時分からメーカーの研修を受けていたということもあり)、いまどきのメカニックにしては珍しく至って普通に対応可能である=だからこそ、GM、ダッジ、フォード問わず現代の最新車両にも対処可能であり、当然それ以前の旧時代の車両にも対応できる。
そしてそんな彼らが扱う中心的存在がBCD車両であり、それら直輸入された車両は港から直接引き上げられ、つくばショールーム内の工場にて日本仕様に改善される。
ちなみに、それ以前は横浜店に全車両が集約され、そこで改善された後に各店舗に移送されていたが、つくばショールームのアメ車専門店化により、つくば独自で作業が行われることになった=横浜店と同様の整備ノウハウがあるということ。
そこで入庫車両の改善作業に関して複数のチェックポイントを伺った。主にライト周り、エキゾーストに関して、また年式によってはリアシートベルトの点灯表示装着etc。
まずはライト周りのチェック。入庫したての時分は全車アメリカ仕様になっており、そのままでは当然日本の公道を走るための車検取得ができないから、それを日本仕様へと改善する。
ヘッドライト関連ではカットラインの違いを修正し、リアテールもアメリカ仕様ではウインカーが「赤」になっているが、日本では「オレンジ」である必要があるため修正、そしてフロントサイドにウインカーが別途必要になるから取り付けたりする。
だが、この改善作業においては、例えばリアテールの場合、LEDの打ち替えを行ったりするのだが、そうした作業においては配線の取り直しが必要だったりするわけで、当然「精度」が求められ、内容差も生じる=それによるトラブルが起こることもある。
BCD車両においては、基本、「純正状態を生かすような修正を行う」ということで統一され、その際の作業に確実性を求め、そしてそれらを継続しているということだが、中には「LEDの光り方を変えてしまったりして遊びを取り入れた車両もあり、またその作業がいい加減だったりして後々のトラブルにつながったという車両もあったりする」という(他店作業のチャレンジャー)。
BCDの場合は、そうした作業における統一が全店で行われており、さらに改善作業におけるノウハウの継承も行われているから、これまでに改善作業におけるトラブルは皆無である。(こうした改善作業は購入者の知るレベルのものではなく売る側がしっかりやるという「売る側の義務」であるわけで、本来普通にできていて当たり前のことなのだ)
こうした改善作業の後、エンジン各部や下回りのチェックが行われる。
実はBCD車両の場合、すでに本国アメリカにあるBCDカリフォルニア支社において全車チェックが事前に行われている。当然、ダメな部分があればその車両ははじかれ、もしくはパーツ交換され日本にやって来ているため、日本における確認作業は結果的に二重三重のチェックとなり、こうした複数回のチェックがクオリティを保ち他店で売られている車両との大きな違いとなって現れる。
「オイル漏れや下回りの状態などを見ます。が、BCD車両の場合、この段階で何か問題があるという車両は今までにほとんどありませんでした。が、車検整備等預かった車両だと効果があります。オイル漏れや滲み、ゴム類のガタや切れとかが確認できる場合がありますので。
ですが、これまでにかなりの数のチャレンジャーの整備を担当してきていますが、大きな症状をもたらすトラブルを抱えた車両自体は非常に少ないという印象です」
これは、販売しているBCD車両が高年式の走行距離が短いベース車となっており、それら車両に対して複数回のチェックが行われ、また適切な改善や納車整備、さらには定期点検が行われているからであり、同時にチャレンジャー自体のクオリティも安定しているからであり、普通の状態の車両を購入し、普通に乗っている限りにおいては(カスタマイズ等の手を加えない状態)あまり困ることがないとも言えるのだろう。
「ですので、大げさなことは必要なくて、基本的な部分を大切にすることが重要です。例えばオイル交換とかタイヤ空気圧のチェックとか日常レベルの確認をして、また過度に手を加えなければ、さほど気にせず普通に乗れるクルマです」
オイル交換で言えば、チャレンジャーの粘度指数は0W−40であり、なるべくこの指定オイル粘度を守ることを推奨するそうだ。
というのも、HEMIエンジンのAT車には、MDS(マルチディスプレイスメントシステム)が装備されており、これは低回転時に4気筒にして燃費向上をもたらすシステムであるのだが、これらは油圧で動作しているから極端に粘度指数を変えてしまうと異常を感じチェックランプが点灯してしまうことがあるという。ちなみにBCDでは、純正オイルを推奨しておりペンズオイルを使用している。
またV8エンジンの場合、オイル交換で約6L程度のオイル量を必要とするため安価なオイルを使用したくなるのも理解できるが、上記の理由を含めなるべく純正または高性能オイルを使用することが望ましいということだ。
一方タイヤ関連に関してはまずは空気圧で、各ホイールのタイヤの空気圧情報を「タイヤプレッシャーモニター(TPMS)」に送るためのセンサーが装備されており、それをメーター内で確認することが可能になる。が、社外品のホイールを装着している車両の場合、このセンサーを同時に移植していない車両が多く、タイヤプレッシャー警告が常に点灯してしまっている個体が多いという。
チャレンジャーの場合、二駆の大パワーFRだけにリアタイヤのコンディションを常に把握しておきたいところ。よって空気圧にも敏感になって欲しい。そういった意味もあり、是非ともこのセンサーは生かしたいところ。
ちなみに余談だが「土浦の陸自では、ホイールに『SAE』とか『JWL』とかの刻印がないホイールを装着している場合は車検が取得できません」ということを教えてくれた。
当然、純正ホイールであれば問題ないし、社外のホイールを装着していても上記の刻印が押されているホイールであれば問題ないが、そういった刻印が押されていないホイールを装着している車両は車検が通らないというから心当たりのある方はチェックすべきである。
以上、飯島氏が教えてくれたチャレンジャーの各部チェックと日常のチェックポイントであったわけだが、こういった内容を教えてくれるところ(ショップ)は、実はかなり少ない。
こうした話ができるのは、自社でしっかりとした整備を行っているからであり、常日頃から実践しているから話せるのであって、こんなところからもつくばショールームの力量が推察できるはずである。
なお、つくばショールームでは、整備のみの相談も受け付けている、というから(他店購入車両も、チャレンジャー等以外のアメ車でも)、気になることがあれば連絡してみるといいだろう。