レアモデル現行初期型のマスタングGTのMT車
BCD車両のコンディションが保たれる理由とは?
文/石山 英次写真/古閑 章郎
このマスタングは、2015年にBCD車両の新車として直輸入され、2016年に販売された車両である。当時、2015年にフルモデルチェンジを受けたディーラー車のマスタングは直4エコブースト搭載車のみのラインナップで、ミッションもATのみだった。
だからその当時、「V8のMT車が欲しい」という方がいてもおかしくはなく、実際にそういう方がBCD車両を購入したわけである。
そして3年後の2019年に一度目の車検を終え、さらにその2年後の2021年(今年)にBCDに戻り、再び販売車として在庫登録されたという経緯。
その間の走行距離は約1.8万キロ。5年で1.8万キロだから年平均3600キロであり、それだけでも状態の良さが伝わってくる。もちろん、無事故車である。
この車両、これだけの低走行車であるということで、オーナーさんの「大切に扱っていた」という思いが伝わってくるが、それ以外にも各部にライトカスタムが施され、オンリーワンな魅力を作り上げている。
基本的な状態はフルノーマルだが、足回りにローダウンサスが入り、リアのエンブレムを取り外しスムージングされている。
一方内装は、ステアリングがシェルビー GT350のようなスエードタイプに、ABCペダルがアルミ製に変更され、エンジン始動時のボタン上にキャップが付くなど、小技カスタマイズで雰囲気を高めている。
「非常に大切にされていた車両です。今現在、どんどん少なくなっている現行初期型のマスタングですが、これだけの走行距離と程度の車両はあまり見当たりませんし、仮にこの年式のマスタングをアメリカで探しても、同じような距離と程度と価格の個体はまず出てこないと思います」とBCDスタッフの鈴木氏は言う。
この型のマスタングは2015年に登場し、2018年にマイナーチェンジを受けフロントマスクのデザインや搭載ミッションに変更を受けている。マイナーチェンジ後はフロントマスクに賛否両論起こり、筆者も見慣れるまでにしばらくの時間を要した。
が、今現在はさほど気にならなくなるほど2018年以降のマスタングばかりを見てきたが、今回改めて初期型モデルを見ると、やはり初期型に相性の良さを感じてしまうのは筆者だけではないだろう。
さらに、この型のマスタングでV8エンジン搭載のMT車という組み合わせ自体も非常に少ないから、それだけでも魅力が高まる。
加えて上記したようにBCD車両というコンディションにお墨付きの直輸入車がベースであり、その走行距離も2万キロに満たない状態だけに、この先のオーナーさんにも非常に有効な車両だと思うのである。
なお、BCD車両は、日本国内ワンオーナー車として販売された個体のことを言い、今回のマスタングのように一度BCD車両として販売された後のツーオーナー目に向けた車両はBCD車両とは呼ばず、BUBU厳選中古車に位置付けられる。
とはいえ、その程度の良さは、BCD車両ベースであり、BCD管理下の整備を受けてきた車両であるから、それだけでも他の一般的な中古車とは質が異なると言えるわけである。
上記で紹介したマスタングのように、BUBUのBCDは、BCD車両として自社で直入した車両を積極的に扱っているが、そうした車両(主に中古車)には、まずアメリカでBUBUの現地法人による試走やコンディションチェックが入り、その後日本に輸入された後にBUBUのスタッフによる確認と第三機関による車両の精査が入る。つまり新車以外の直輸入車両は計三度の状態見極めが行われている。
そしてそのベースとなる車両は、日本人の好みに応じた車両のみが厳選されている。たとえば距離。アメリカでは10万キロなんて全く問題にならないというが、日本人は距離にシビア。だから、そういった車両は除外され、距離数の適切な、さらにクリーンな車両の無事故車が日本に直輸入されている。
ということで、展示車両としてBCDの売り物になっている車両たちは、そうした壁を越えたものであるがゆえに、BCD独自の50プラン、60プランや手厚いアフター保証へと繋がるのである。
もちろんそれは、どれだけ魅力ある車両であってもしっかりとしたアフターフォローが出来なければ、「その価値は半減してしまう」というBCDの理念によるもの。
そういう意味も含め、ダッジ系やフォード系車両に対応する電子デバイスにおいても最新のものを用意しているのだが、同時にそれは、直輸入する車両の現地ディーラーのような品揃えと品質、さらにはアフターを実現しようとする試みに他ならない。
マスタングで言うなら、直4エコブーストのAT&MT車、コンバーチブル、V8GTのAT&MT車、コンバーチブル、ブリット、GT350、GT500といった感じ。日本国内で、これだけのラインナップを扱い、実際に展示車を用意している販売ショップがあるだろうか。
要するに、現地のディーラーのようなラインナップを用意し、現地のディーラーのようなアフターが可能になれば、それだけ安心感が増し日本にアメ車が根付くであろうという希望のもと遂行されている。
そういう意味では、まがい物をそれらしく整え販売している中古車ショップとは天と地の差であり、同時に、在庫車を持たず輸入しますという、広告宣伝だけで展開しているショップとも歴然の差なのである。
BCDは、直輸入車に対して持たれる不安要素を一つ一つ潰し、逆に積極的に対応することで、他社との差別化を図っているとともに、自らが販売した車両に対する責任を確実に果たそうとしている点がはっきりと見える。
だから、そういった企業努力を知ることで、そして実際に車両を見ることで、われわれも積極的にBCDをオススメするわけである。
上記のマスタングは、そうした車両を購入したオーナーさんが、5年間大切に乗った個体である。現行初期型マスタング、しかもV8GTのMT車が希望であれば絶好の1台と断言できるだろう。