GM正規サービスディーラーのBUBU宇都宮
GM車に精通したメカニックが診る中古車が最大のメリット
文/石山 英次写真/古閑 章郎
vol.1で2020年型 SSのディーラー車ベースの中古車で走行3万4,000キロの個体を取材した。そしてその個体をそのまま工場へ向かわせ機械的な部分のチェックを行った。
担当は、以前直4ターボモデルを取材した時にも対応してくれた道地メカニックである。
まずは6thカマロに関して、V8モデルと直4ターボモデルのメカニカル的な差分について聞いてみた。
「高年式のカマロに関しては、圧倒的に直4ターボモデルの方が数が多い(市場に流れている)です。ただ、V8モデルは5thモデルも含め旧時代まで遡れば数の多さはありますが、6thと限ればV8モデルは意外に少ない印象です。ただ、メカニカルな面で言えばV8モデルと直4ターボモデルとで大きな差はほとんどありません」
例えば、エンジンオイルに使用するオイルの粘度指数が違うとかV8モデルはフロント&リアにブレンボブレーキを採用しているが直4ターボはフロントのみブレンボを使用とか、そういう機能&装備面での違いはあるが、メカニカル対応やトラブル対応における両者の違いは「そうない」ということである。
「V8だから特別壊れるとか、直4だから壊れないとか、そう言った面は全くありませんよ。ただ、これらはあくまでディーラー車ベースでディーラーで定期的にチェックを受けてきた車両に関してです」
なるほど。それすなわちディーラーでの定期点検が生きているという証左であろう。と同時に、各ディーラーにて定期的なそれぞれのチェックポイントが存在するということではないか。
そういったディーラーメカニックならではの視点でカマロ V8について聞いてみた。
「これまでの経験で言えば、エンジンは非常に丈夫です。ただ、クーラントの減りが意外に早く、その部分の注意は必要です。またミッションですがこれも基本的には丈夫です。が、中には変速時にジャダーが出る個体が過去にありました。そんな時はミッションオイルの交換で様子を見ることになります(実際にそれで解消しています)」
ミッションオイルに関しては、GMの作業マニュアルに則った方法で行っているといい、そうした指定で作業ができるのがGM正規サービスディーラーならではである。
また、6thカマロの年式では10万キロを超えたオーナーカーを整備したことがないというから、基本、過走行はほとんどないとも言えるだろう。
「V8モデルで言えば、マフラーの中にあるフラップのトラブルが稀に起こることがありますね。またシャークフィンアンテナのリアカメラの調子が悪いとか映りが悪いとか、そうした個体を何台か見たことがあります」
マフラーのフラップとは、排気ガスを調整している弁である。その開閉がおかしくなってしまい交換事例があったという。またシャークフィンアンテナも交換対応という。
それ以外で個別のトラブル事例はほとんどないというのがカマロ V8だそうである。
ということで、次に今回の個体について診断していただいた。
「まず一つ言えるのが、この個体の下回りは非常にキレイです。オイル漏れや滲みは皆無ですし、下回りを通してヒットポイントもありません。当然、サビもないですし、サスペンション系でもオイル滲み等の破損も全くありません」
確かに素人でもわかるキレイな状態だった。正直、3.4万キロ走行を下回りから感じることは全くなかったのには驚いた。
「以前も言いましたが、やはりポイントは5万キロ超えです。特にスポーティカーの場合であれば、SUVよりは多少でもハードに走行することがあると思いますし、サスペンションにもそれなりのヤレが出てくる可能性が高まります。ですが、この個体は相当良い状態であると、走らせなくても下回りをチェックしただけでも想像がつきます」
ブレーキやタイヤをチェックしても、さほどのヤレが見られない=距離相応の状態と言えるだろうし、内外装をチェックした際にも目につく瑕疵はなかった。
ちなみに、BUBU宇都宮はGM正規サービスディーラーなので、販売車両として入荷した個体はまずはGM専用の電子デバイスを使用して個体のチェックを行っている。そしてその後他の作業に入るというから=問題ないと判断された個体が販売車両として並んでいるわけである。
というような諸々の確認作業をもって、取材車の2020年型SSは、カマロ V8の程度良好車両が欲しいという方にとって最善の一台と言えるのである。