トータル総数の少ないカマロV8モデルの中古車を丸裸に
中古車であるからこそディーラー車ベースであることの利点を活用すべし
文/石山 英次写真/古閑 章郎
まずは簡単なカマロの来歴だが、2002年に一度、幕を閉じたカマロ。通称4thカマロの時代である。そしてそれから8年後の2010年、満を持して5thカマロが再デビューした。驚くべきはその身体能力であり、2002年から8年分以上の進化を一気にもたらした。
その5thから6年後の2016年、6thカマロにモデルチェンジ。そして7年後の2023年に再びその歴史に幕を閉じた(日本仕様は2024年まで)。
今回取材したカマロはこの6thカマロであり、この6thカマロのトピックスをまとめれば、プラットフォームの変更による高剛性ボディと軽量化、デザイン的なリファインによるシャープなボディ、サスペンションリファインと軽量化による走行性能の圧倒的向上、そしてカマロ初の直列4気筒エンジン搭載車のラインナップということになる。
一方でデザインに関していえば、キープコンセプトというのは間違いないが、実物を間近で見ると5th比で全体的に一回り小さくなっているような感じを受ける。
とくに圧倒的にシャープになったデザインは、ボディラインの抑揚等とうまく結びついてスタイリッシュなクーペ像を導き出している。
同時に、乗ると別格の走りの性能にまたまたヤラレてしまう。新プラットフォームでおよそ90kg(5th比)の軽量化を果たし(車重1,780kg)、また定評のあった足回りの熟成によりグリップ量が増し、それが速さと安定感に確実につながっている。
余談だが、6.4リッターV8エンジンを搭載した ダッジチャレンジャーの車重は1,910kgである。
乗り心地についていえば、近年のGM車全般の洗練性は凄まじく、乗り心地とハンドリングのまとまり感はフォードやダッジのそれを遥かに上回る仕上がりであると思う。
搭載されるエンジンは、当時のコルベットと同じ6.2リッターV8LT1エンジン。とはいえ若干のチューン違いによりパワー&トルク数値に変化が見られるが、453ps、最大トルク62.9kg-mを発生させる。それを10速ATと組み合わせる。
まとめればカマロ SSモデルは、ダッジ チャレンジャーやマスタング GTに全く劣らない非常に魅力的な存在といえるのである。
くわえて近年のカマロ SSモデルは、あくまで個人的指標だが、ダッジ チャレンジャーよりも流通量が少ないのではないかと思えるほどレアな存在。
だから欲しいと思っているなら、比較的走行距離の短い高年式モデルの中古車を早いうちに見つけて購入した方がいい。
ということで、取材個体である。2020年型SSでディーラー車ベースの中古車。走行3万4,000キロの個体である。
後のvol.2のページで詳しく紹介するが、3.4万キロを走行した割にはかなりの上玉コンディションであった。それが証拠にステアリングやシートのレザーの若干の使用感を感じるものの、それ以外は驚くほどシッカリしているというのが第一印象。
また、ボディ下回りを見てもサビ一つなく、オイル滲み等もないクリーンな個体。ホワイトのボディカラーも「純白」カラーでカマロに非常によく似合っている。
カマロ SSに関しては、日本に上陸している個体の90%以上がディーラー車ではないかと思う。なので購入を検討するなら安心感のあるディーラー車ベースというのが、まずはデフォルトである。
ということで、vol.2で工場での点検確認作業を見学し、ディーラー車であることの重要性を検証する。