正規ディーラー車から並行輸入車まで
車種、メーカー問わずのアットホームな雰囲気
文/石山 英次写真/古閑 章郎
工場内には三列のスペースがあり、向かって左からトヨタ シエナ、中マスタング V8、右C8 コルベット。このコルベットの後ろに作業を待つダッジ チャージャー SRT392が控えている。
BUBU宇都宮の工場には次から次へと整備依頼のアメ車が入庫する。
それはGM正規サービスディーラーであるとともにBUBU BCD車両を扱う認証工場であるから。だから車種問わず、メーカー問わず、そして正規&並行車両問わず依頼がやってくる。
そしてきっちり成果を出すからこそ、自社販売車両以外の整備依頼が増え、今は常に盛況が続いている。で、その依頼範囲は北関東全域に及んでいるという。
「様々な車両に対応することで整備技術も年々磨かれていきます」と主任メカニックの道地さんは言う。
道地さんは元はフォードディーラーでメカニックを務めていた。なのでフォード マスタングやエクスプローラーを中心とした現代のフォード車にはめっぽう強い。ディーラー的知見と自社輸入した並行車両への対応によって得たノウハウを生かした整備対応が可能だからである。
「マスタングやエクスプローラーはもう何十台も診て来ましたから。ですが、ブロンコレベルになるとまだまだですね(笑)」
そんな道地さんにマスタング V8の整備点検についてお話を聞き、同時に点検作業にも同席させていただいた。
点検作業を行うのは、出井さん。彼は某外車メーカーに勤めていた一級整備士である。そしてサポートしているのが大谷さん。今年4月に入社した新人スタッフである。
まず、点検時に行うのは、車検対応車両か否か(ヘッドライトやサイドウインカー等)、カスタマイズされているか否か、カスタマイズされている場合どこがどう変わっているか等(マフラー、車高、タイヤ&ホイール等)を一通りチェックし、油脂類の確認が行われる。
点検が行われていたマスタング GTは2018年型。走行距離9,873キロの中古車である。
一万キロにも満たない走行距離であるため大きな瑕疵が疑われる箇所は非常に少ない。
だが、年式が2018年ということで6年落ち。万が一にもその間にオイル交換がなされていない可能性もあるので要チェック。
また、マスタングは4〜5万キロの走行距離を走るとデフから異音が鳴る場合があるという。なので、そのくらいの距離になるとデフオイルの交換を勧めているという←こういう部分がフォード車を知るノウハウの一部である。
デフオイルは見逃されがちな項目だが、マスタングの場合、デフオイルの劣化がかなり進むらしいので注意した方がいいだろう。ちなみに使用されるオイルは粘度指数を遵守した純正品である。
さらにバッテリーテスターを使用して電圧をチェック、水漏れやベルト類の確認を行い、そのままリフトを上げ車体下回りのチェックを行う。
下回りチェックでは、まずは各部からの漏れのチェック。水漏れ、オイル漏れ、そして排気漏れ。また下回りを打った形跡の有無。で、印象的なのが、エンジンオイルのドレンの位置とミッションオイルのドレンの位置。
エンジンオイルのドレンは誰もが一目でわかるほど明確。黄色いカラーもわかりやすい。一方で、ミッションオイルのドレンはリフトアップしていてもわかりにくい。裏を返せば「触りにくいようにしている」とも言えるだろう。
ちなみに、BUBU宇都宮では5万キロ〜7万キロ程度でのミッションオイルの交換を推奨している。マスタングの場合、ミッションのジャダーが出るというような事例はかなり少ないということだが、「オイルは必ず劣化する」という判断のもと推奨している。