歴史的にも価値ある65年モデルのコンバーチブル
赤いちゃんちゃんこならぬ真っ赤なコロネット 440
文/石山 英次写真/古閑 章郎
ダッジ コロネットと聞いて思い出すのが数年前に某デイトナ誌に掲載されていた所さんの愛車である。
その後ユーチューブ動画にも出ていた(今も検索すれば出てきます)から気になる方は見て欲しいが、とにかくコロネットはアメ車旧車好きに刺さる資質を持った存在であるということである。
ちなみに所さんの愛車は66年型のコンバーチブル。ブラックのボディカラーにホワイトの幌の組み合わせで随所に彼らしいカスタマイズが施されている。
で、まずはコロネットであるが、もともとはフルサイズボディをまとったセダンとして1949年にデビューしている。そして1959年いっぱいで生産が終了。
しかし、6年後の1965年に再び復活。だが、その時はフルサイズではなくインターミディエイトのBボディとして再登場し、ボディバリエーションもクーペ、ハードトップ、4ドアセダン、ステーションワゴン、コンバーチブルと豊富なラインナップを誇っていた。
そして翌66年にフェイスチェンジ、さらに67年にもフェイスチェンジを行い、そのまま1977年まで生産が続けられるという流れ。
よってアメ車好きがコロネットを購入しようと考えた場合、注目すべき年式が65年と66年になる。要するにフェイスチェンジに伴うデザイン変遷のバリエーションである。
67年型以降も人気はあるが、デザイン的な仕様変更は65年66年ほどなく、また数も豊富にあるから選び放題ではあるが、65年66年はともに一年のみであるから数が限られる=そのレア度も当然人気に結びついている。
取材したのは65年型のコロネットコンバーチブル。赤いボディカラーに濃い赤いインテリア、白い幌というなんともアメリカらしいカラーコンビネーションをまとった一台。
アメリカンレーシングの17インチホイールを履いているからカスタマイズカーか? と一瞬思うがそうではない。基本的にはノーマル純正状態を維持しており、ボディ各部のコンディションも驚くほどいい。
とはいえ、レアな個体だからといった人気優先で選ばれたものでは決してない。
この車両は、BUBUのビンテージ部門がカリフォルニアから自社輸入した個体であり、現地でコンディションチェックを行った上に仕入れたものだ。
BUBUのビンテージは、ブランドや人気、レア度等で個体を選ぶというよりは、「この車両は日本の道路事情でも走らせることが可能なのか」を重視して、現地法人の日本人スタッフ等が選んでいるから「人気の車両や誰もが知るアメ車」が入荷するとは限らない。
だが、コンディションを重視しているから、もし入荷した個体があなたの欲しいアメ車であったなら、それはあなたにとって素晴らしい個体になる可能性が非常に高い=日本の道路を走ることを前提とした個体だからである。
「確かにこの年代のコンバーチブルですから敷居は高いかもしれません。超目立ちますし(笑)。ですが、これだけの個体が頻繁に入荷するということはまずありませんので気になる方はチェックしていただければと思います」とBCDスタッフ。
これだけの個体、しかも鮮やかな赤いボディのコンバーチブルが日本の道路を走ったなら確かに目立つだろう。なのでこうした派手なモデルにも顔負けしない方、もしくはコロネットの歴史的価値を知る旧車ファン等に注目してもらいたい一台である。
個人的には、今年、もしくは来年還暦を迎える方に是非乗って欲しいと思う。約60年前の赤いちゃんちゃんこならぬ真っ赤なコロネット 440に乗るならばさぞかし似合うだろう!