マスタングユーザー2名に話を聞きました
雨ニモマケズ湾岸地域まで自走にて集合
文/石山英次写真/田中享
2023年の初めから様々な旧車の取材をしてきたが、中でもオールドマスタングの人気は圧倒的なものだった。
2023年だと特に65年、66年といった初代モデルの人気が高く、個人的にも数多く取材してきたし、またその多くが実際に売れていった。
特にBUBUビンテージの個体は、展示車両を直接確認して納得した状態での購入が可能だから、購入を検討している方にしてみれば安心感が高いのだろう。
また世界中で巻き起こっているビンテージブームだが、BUBUビンテージが扱う個体は、そうしたブームのど真ん中を対象としていないのもいい。
そして比較的入手しやすい現実的な価格帯の個体が多く、さらにカリフォルニアにあるBCD支社を通じた厳選仕入れだからある程度の改善作業のみで日本の道路を走れるのも素敵である。
そんなBUBUビンテージでオールドマスタングを購入されたオーナーさんに直接話が聞けた。これまで販売車両の取材は数多く行ってきたが、それを購入された実際のオーナーさんに話を聞くのは初めてである。
まずは66年型マスタングに乗る寒川さん。
寒川さんは、2019年にBUBUビンテージで購入されている。今から4年前だからコロナ禍以前であり、旧車人気が沸騰する直前というタイミングだったかもしれない。
寒川さんは、それ以前は2012年型マスタングやプジョー 306に乗ったりしていたというが、それらと同時にオールドマスタングに対する憧れを持っており、ちょうどBUBUビンテージに展示車があるという情報を知り、見に行った。
実車を確認するとともに購入を決意し晴れてオーナーとなったのだが、個人的に非常に感心したのが、オールドマスタングのみの一台生活を始めたということだった。
必要であれば、雨だろうが、雪だろうが、真夏の炎天下だろうが、乗るということである。
とはいえ、寒川さんのマスタングは、購入後にそれなりに対策も施されている。
例えばブレーキ。まずはパワーブレーキにしたり、フロントをディスクブレーキにしたり、点火をポイント式からトランジスタ式に換えたり、後付けのエアコンをつけたりウエザーストリップを交換したりetc
「主に土日に乗ることが多いです。ですが、雨でも乗ります。なんせこれ一台しか持ってませんから。なので真夏もエアコンをつけて乗っていました。でも、2023年の酷暑では水温ギリギリでしたけど(笑)」
そんな寒川さんのマスタングは購入後4年が経つが、路上でエンコしたことは皆無であり、トラブル自体もほとんどなかったという。
「おかげさまで本当にトラブルは少ない個体でしたが、今年10月にミッションを修理しています。2速から3速への変速がおかしくなったんです」
取材時はすでにミッションの修理を終え元気よく走っていたが、それ以外のトラブルはなく、そうした元気な走りの根底には、厳選された個体であったことと寒川さん自身の日頃の努力もあった。
「オイル交換くらいなら自分でやりますね。それ以外もなるべく自分でやるようにしています(取材時もバルブ交換を自分で行っていた)」
取材当日は生憎の雨で真冬のような天候だったが、寒川さんは自宅から数十キロも離れた取材場所まで自走でやってきてくれた。
実は待ち合わせ場所の4キロ手前の時点から筆者は寒川号の真後ろを走っていたのだが(200hp超の289V8を結構な勢いで走らせていたのを間近で見ていた)、路上を走るオールドマスタングはめちゃくちゃカッコ良かった!
取材終了後に今日のご予定は? と聞いたのだが、「帰って掃除です(雨に濡れたボディをという意味)」と語っていたのが非常に印象的だった。
続いて66年型マスタングに乗る深澤さん。
深澤さんは生粋のアメ車好きであり、オールドマスタング以外にもダッジ チャージャー、シボレー コルベットC6を所有している。すなわちアメ車のために働いている(笑)ような方だ。
そんな深澤さんは、まずはダッジ チャージャーをBCDで購入したという。そしてその時お世話になった営業マンを通じBUBUビンテージの存在を知り購入に至る。
だがその時点では、オールドマスタングが欲しいというざっくりとした思いしかなく、「何年式が欲しい」というところまでの意識はなかったという。
「オールドマスタングならパーツ等の心配もなく長く乗れるだろうという認識はありましたが、どのモデルが欲しいという希望は正直ありませんでした」
なので66年型マスタングというのはその時点での出会いであり、「また別の機会であったならば、その時の出物を購入していたのではないでしょうか」という。
今現在は「いつか71年BOSS 351が欲しい」という思いがあるという。
さて、深澤さんの愛車であるが、ブルーともグリーンとも言える非常にキレイなボディカラーとホワイトルーフが目を惹く仕様。これは購入時のままといい、機関に関してもなるべくオリジナル(買った時のまま)を維持したいということで、水周り等のカスタマイズも行っていないという。
だから、渋滞や暑い夏は苦手であり、主に土日の朝&夜に走らせるというし、当然雨も回避(他に乗れるアメ車があるし)。だが、今回に限っては無理をしてやって来てくれた。
なお、購入後4年経っているが、これまた路上でエンコした経験は皆無。ただし、ブレーキのマスターシリンダーの不調やブレーキラインの交換修理、マフラーのハンガー(ゴム製)交換やバッテリー交換等の修理や消耗品の交換を行ってはいるが、それらはあくまで通常整備の範囲であり、オーナーとしての意識としては「全く壊れません」という認識だという。
「修理等をなるべく自分でやりたいと思っていますし、壊れて勉強するところもあると思っています。ですが、そこまで壊れませんのでね(笑)」
深澤さんとオールドマスタング&他2台のアメ車生活は、まだまだ続く。
お二人に共通していることは、ともに購入後4年以上の歳月を経ているが、大きなトラブルに見舞われることなく過ごせているということ。
もちろんBUBUビンテージの厳選された個体が威力を発揮しているということに他ならないが、それと同時にどちらのオーナーさんも「積極的に走らせている」ということも効いているだろう。古かろうが、走らせてこそのクルマなのだ。
特に寒川さんには「これ一台しか所有していない」というから覚悟を感じるし、実際に似合ってもいたし、使い込んで入る感が、人物共々非常にカッコ良かったのである。