最新のチャレンジャー選びで大切なのは排気量ではなく「個性」
プラムクレイジーにヘルキャットホイールで独自性を増す
文/石山 英次写真/古閑 章郎
つい最近、ステランティスの2024年のジープ ワゴニアが、V8エンジンが廃止され直6エンジンのみになるというニュースを見た。
すでにチャレンジャー系は2023年いっぱいで生産終了し、ラム TRXも2023年いっぱいで終わり、そして上記のワゴニアV8も終了ということで、ステランティスの2024年モデルでV8エンジンが残るのはダッジ デュランゴのみとなる。
ちなみに、そのデュランゴだが、すでにEVのコンセプトカーらしきものが登場しているから、それが現実化されるとともに生産終了へと向かうはずだ。
要するにステランティス系でメジャーなV8エンジン搭載モデルの新車を購入するなら2023年いっぱいとなるということだ。しかし、そうしたモデルは、現在の円安相場も加わり高値安定になることは間違いない。例えば2023年型チャレンジャーの新車を検索すれば、そのほとんどの価格が「ASK」である(笑)
それでも欲しい、買えるという方がいるのは間違いないが、「いつか欲しい」「頭金が貯まるまでじっくり待っている」etcという方々にとっては高嶺の花だろうから、チャレンジャーの狙い目モデルは間違いなく中古車だろう。
でも、年式によってチャレンジャーの中古車にも多くの差があるので注意する必要がある。
何故なら2020年、2021年の中古車の数が極めて少ないから。
いわゆるコロナ禍によりアメリカ本国における生産自体が少なくなっていた為、必然的に日本に持ち込まれる車両も同時に少なく、中古車市場ではほとんど見かけない。
一転して2022年になると数は増えるが、それ以前の20年、21年型が空洞化しているから、狙うべき中古車はおのずと2019年以前ということになってくるだろう。
もちろん2022年型も中古車として存在するから狙えるが、いかんせん高値なので(もちろん買えるなら高年式の走行距離短めを購入した方が良いに決まっているが)、値落ちするまで待つことを考えるかもしれない。
しかし、2022年型は円安やコロナ禍&ウクライナ戦争を経験しているからはなから若干高値であり、恐らく来年以降は生産終了によるプレ値になることが予測される。
やはり中古車における現実的な購入車両はコロナ禍以前に日本に上陸した2018年、2019年辺りがボリュームゾーンとなるのだろう。
そういった年式の車両が狙い目なのは間違いないが、当然気をつけるべき注意事項もある。それは整備状況と走行距離だ。
アメリカ本国におけるエンジンのメーカー保証は一般的に5年10万キロである=その範囲内にトラブルが起これば保証するというもの(それ以降になると壊れるという意味ではない)。
なので、例えば2019年型の走行3万キロ程度の中古車であれば、上記の本国保証を目安とすればまだまだ余力十分で楽しめると考えることが可能だろう。
くわえて購入する段階(それ以前も含め)での整備状況も重要である。
いわゆるメカ的な整備に関しては、ある意味どこの整備工場でも可能かもしれない。だが、2019年型を含めた現行型チャレンジャーにおいては全般的に、メカ以外のシステム系のチェックやアップグレードが必要になる。
そのためにはメーカー対応の電子デバイスが必要になるから、それを持たないショップで購入することは絶対に避けたい(ATFの交換は電子デバイスがないと対応できない等色々な状況下でデバイスを使用する必要があるから、持たないショップは対応していないと考えられるだろう)
それらに対応出来るスペシャルな工場を個別に知っているというなら別だが、もしそうでない場合は、最初から対応出来る工場が併設されている販売店で購入するのが一番の近道である。
ということで2019年型の取材個体はチャレンジャーR/T、走行2.2万キロ。
R/Tだから搭載エンジンは5.7リッターV8になる。当然、上には6.4リッターV8があるから気になるだろうが、旧時代のチャレンジャーを思いつつ、何よりチャレンジャーが欲しいがV8は譲れない、というのであれば5.7リッターで十分事足りる。
ちなみに搭載される5.7リッターV8エンジンは最高出力372hp、最大トルク400lb-ftを発生させ、それを8速ATで駆動する。
というか、チャレンジャーのデザインとV8エンジンの組み合わせを求めるだけなら、「R/Tで十分」というより「R/Tがベスト」であって、あえて上を考える必要性は全くない。
くわえて、一世を風靡したこのデザインはもはや現代でも「定番」として通用してしまうほど魅力的であるから、そこに焦点を合わせるならR/Tほどベストな選択肢はないわけである。と同時に必要なのは、中古車としての「程度」である!
余談だが、ここ数ヶ月各地で各種イベントやモーニングクルーズが開催されているが、それらに参加されているオーナーさんに話を聞くと、大切なのは搭載エンジンというよりは「ボディカラー」や「T/A」、「392」、「50thアニバーサリーモデル」、「クラシックパッケージ装着」、「MTミッション」といった「個性」であり、そんなカラフルなチャレンジャーが多く来場されていたのが印象的だった。
そういう意味では、取材個体のプラムクレイジーのボディカラーもレアで非常に魅力的だし、ヘルキャットのブラックホイールを装着していることも「個性」の一つだろう。
しかも販売しているのがBCDであるから、コンディションや整備対応における不安要素が限りなく少ないことが魅力なのである。