一番デカくて豪華なベースにリムジン仕様を作成
日本人の丁寧さが際立つ圧巻のインテリア
文/石山 秀次写真/古閑 章郎
キャデラック エスカレードは、まだまだダントツで人気がある。現在の、2021年に登場した最新型は5代目モデルだが、人気の中心は4代目モデル。
もちろんそれ以前の3代目モデルも人気は高いが、その理由はあくまで価格的要因であり、「買えるなら4代目がいい」と思いつつも実際の金額的壁を感じ、あえて3代目で我慢しているという方が多い=それほど4代目モデルの人気が高いと言える。
余談だが、2021年に登場した5代目エスカレードは、デザイン、リアサス及びインテリア等の変化や高級車としての圧倒的進化をもたらしたが、エンジンに関しては旧モデルを継続使用している。もちろん、水面下で様々な手が加えられているはずだが、スペック上の変化はほとんどない。
それには理由があって、要は「必要十分な性能がある」ということなのだろうし、パフォーマンスモデルが欲しければ、のちに登場した「エスカレードVをどうぞ」、ということなのだろう=パフォーマンス面において4代目でもさしたる不満はないという根拠である。
で、その4代目モデルであるが、2015年に登場している。新世代のフレーム構造を持つ新型モデルとなり、ホイールベースは旧モデルと同様の2,950ミリ。サスペンション構造もフロントが独立懸架、リアがリジッドという基本形式に大きな変更はない。
搭載される6.2リッターV8OHVエンジンも、旧モデルからの流用となるが、直接燃料噴射システムや気筒休止機構、可変バルブタイミング機構などが搭載され、最高出力は426hp、最大トルク63.5kg-mを発生させる。それぞれ旧モデル比で4%と10%増強されている。
このエンジンには、デビュー当初は6速ATが組み合わされていたが、2015年後半から8速ATに進化している(最終的には10速ATにまで進化)。
またグレードが複数あり、初期で言えば「ベース」「ラグジュアリー」「プレミアム」「プラチナム」の計4つ。
さらにノーマルボディにロングボディのESVも存在するから、上記のミッションの違いやグレードの違い、さらにはノーマルボディ&ESVといったボディの長さの違いを加味すれば、それこそ様々なモデルが存在していると言っても過言ではない。
ちなみに、知っている方には今更だが、GMにはタホとサバーバンというSUVが存在するが、この二台の違いはボディ後半の長さ。エスカレードに関してもタホ&サバーバン同様の違いであるから、ロングのESVはサバーバンと同じ大きさだと思えば、さほど違和感は感じないだろう。
さて、そんな4代目エスカレードの違いを頭に入れつつ取材した個体がこちら。2015年のESV プラチナム。要は一番デカくて豪華な仕様である。しかも8速ATモデルであるから、一番オススメなモデル。
個体は新車並行モデルであり、走行約2万300キロという上玉。くわえて、室内のアレンジが素晴らしい。
もともと4代目エスカレードのインテリアはハンドクラフトされただけあってかなり上質であり圧巻の室内空間を誇るが、この車両はそれをベースにリアの空間設計を変更している。
すなわち、セカンドシートを取り外してフローリングにし、ゴージャースなサードシートを取り付けることで4名乗車のリムジン仕様にしている=だからこそのESVなのだ。
改めて見ると、インテリア全体をダークレッドのレザーに総張り替えし、運転席後部にパーテーションを作りそこにモニターや冷蔵庫、ナビ等を設置。後席にはまるでソファーのような豪華絢爛なシートを設え、頭上にはサンルーフが付いている。
同時に、各種操作系は移設されているが、それらはまるで元からそこにあったような風情に収まっている。
こうしたカスタマイズは全て日本にて行われているから、そういう意味での信頼性は格段に高い。日本人ならではの丁寧さが細部に感じられるからだ。
ちなみに、エンジン&ミッションや足回り等は全て純正ノーマルであるから、その部分における心配も全くない。しかも走行距離が2万ちょいということもあり、駆動系のヤレもほとんどないと言っていいだろう。
リムジンといえば、一般的にはセダンベースが頭に浮かぶし、ボディを切断し繋ぎ合わせたストレッチリムジンの絵面を思い浮かべる方もいるだろう。
また、直近ではアルファードのリムジン登場?やレクサスLMのリムジンが2000万円?なんていうニュースを見たから、最近は日本でもリムジンの要望が高いのだろう。
そんな中でのエスカレードリムジン。セダンやミニバンベースではないSUVベースのリムジン。
外から見ると普通のESVだからストレッチリムジンのようにドライバーが運転に困ることはないだろうし、背の高いミニバンベースにありがちな高速走行時の不安定さを感じることもないだろう。
それでいて豪華絢爛かつくつろげる居住空間が与えられているのだから、後席に乗る方にとって最高に贅沢な一台となるに違いない。