現地支社を訪ね「買い付けから輸出まで」の流れを取材
「可能な限りのリスク排除」が至上命題
文/石山 英次写真/古閑 章郎
例えば、あるショップの方がアメリカから中古車を輸入しようと考えた場合、自らアメリカに飛び実車を見て仕入れるのが一番確実な方法なのかもしれない。自分の目で見てコンディションチェックしているわけだから、それはそれでかなり安心だろう。
だが、仕入れのたびにアメリカに飛び続けることは絶対に不可能だから(特にコロナ禍であったりすれば)、自然と第三者に依頼するという方法に落ち着くのかもしれない。「2019年型くらいまでのヘルキャットでノーマルボディでもワイドボディでもOK。8〜9万ドルくらいで探して(あくまでイメージ)」とか。
第三者とは、いわゆるシッパーである。シッパーは日本からの依頼により車両を探し購入、そして輸出までを手がける方々の総称であり、要するに仲買人と言える存在。
日本の多くのショップが、このシッパーを使いアメリカから新車や中古車を輸入しているという現実があるが、こうした一連のシステムを第三者に任せずに自社にて行っているのがBCDである。
BCDはロサンゼルスに支社があり、ゼネラルマネージャーのマイク氏と日本人スタッフが在住。彼らが、BCD日本スタッフから注文の依頼を受け、車両を買い付けに行く。
購入する際にも、彼らが実際に見た時点で車両を判断し(外装、内装等のコンディション等)、当然OKなら買い、NGなら買わない判断を行う。ここで大切なのは、そうした判断における妥協が一切ないということ。
例えば、「これ、ちょっと直せば売り物になるな」と思ってしまえば、そうしたコンディションの甘い車両が日本に入ることになる=そうやってレベルを満たさない車両が増えれば、次第にBCDの信頼はガタ落ちとなるだろう。
そして自社に持ち帰り、自社の洗車場で洗車しながら下回り等のチェックに入る。当然ここでは販売店では見られない箇所のチェックが可能になり、事故車等のチェックも確実に行われる。
で、万が一この時点で瑕疵が見つかった場合には返品される。もちろん、損失は出るが、利益を度返ししてでも「確実な車両を日本へ送る」という彼らのポリシーがここでも貫かれる。
こうした各部のチェックが行われた後に、日本への輸送が決まった車両は、まずは現地の道路を試走する。距離にして80キロから100キロ程度。この時点で何かしらの異常が発生した場合には現地のディーラーに持ち込み対応し、車両の履歴と保証の範囲内でのチェックが行われる。
というのも、BCDが扱う車両は、現地での純正車両の保証範囲内であるものがほとんどであり、ある程度の距離を走ることで最終的なアラを出し、リコール等を行ってもらうことで、現地における『最新の状態』にすることが可能なのである。
で、ここで重要なのが、こういった一連の作業を行っているマイク氏や日本人スタッフには、「日本においてアメリカ車の中古車を売ることは非常に大変であり、その中で信頼を損なう車両を日本へは送れない」という意識が貫かれており、見立ての甘い車両が日本に送られてくることがないということ。
そこが第三者を使用している他店との明確な違いになる(第三者=シッパーのレベルがピンからキリだから問題が起こる)
すなわち、BCDのロサンゼルス支社は、BCD日本法人スタッフと同じBCD社員であるから、現地に行かずしてまるで現地に行って自らチェックし購入したかのような車両精査が可能になる=見立ての甘い車両を日本に送ればBCDの評価が下がる=ロサンゼルス支社の評価も下がり=自分たちの職がなくなる=だから自然とチェックが厳しくなり良好な車両しか送れない、という流れである。
ちなみに見立ての甘い車両とは、距離数が多い、インテリアが汚い&破損(汚れニオイ等)、外装コンディションが悪い、改造車であることetc(事故車は論外)
さて、そうした一連の流れ作業後に船に乗り日本へと到着した車両は、日本で再びチェックを受けることになる。まずはBCDスタッフによるチェックとメカニックによる各部のチェック。そして第三者機関による車両の事故車チェックである。
すなわち、アメリカBCD、日本BCD、日本外部の鑑定士による三重のチェックが行われることで、事故車やトラブル等を未然に防ぐための防衛策が施されているのである。
かつては、「アメ車はダメ車」などと揶揄され放題で、瑕疵のあるクルマを、さも良いクルマ風に仕上げた中古車を販売していた業者があったのは事実である。その当時は「アメ車はこんなもんだから」が合言葉になっていた時期でもあった。
だが、時代もクルマも進化し、それらを販売する方々の意識もまるっきり変わっている。BCDは、逆に瑕疵のあるクルマを売れば売るほど利益は上がらなくなると判断し、良いもののみを扱い続けることで、長い目で見た利益追求を行っている。
だから、当然下手な車両は売れないから、自分たちでチェックを厳しくし、アフター保証も充実させているから、逆にそうった保証が必要ないくらいのレベルの車両を独自で探し販売している。それが今や大人気のBCDの自社輸入販売システムである。
プラスして、実車ありきの商売をしているから、ショールームに行けば、車両のコンディションがチェックでき、気に入ればそのまま買える。
人に見てもらうということは、その時点でちゃんとした状態でなければならないし(だから当然良いクルマしか扱えない)、カタログだけ見せて、「欲しければ輸入しますよ」と言ったショップとはまるで違う形態であるというのがお分かりいただけるだろう(クルマが来るまでどんな状態かわからない不安がつきまとう)
とはいえ、機械が相手だから100パーセント完璧ということにはならないから非常に厳しい業界だと思うが、万が一何かしらあった場合には、しっかり対応してくれるから非常に頼れる存在である。
「アメリカ車の本国仕様には面白いクルマがたくさんあります。BCDとしては、そういったクルマたちに不安なく乗っていただきたい。そのために履歴が明確かつクリーンな車両を適切に輸入し、最適な改善&整備をしてお売りする。そのための整備施設(電子デバイス含む)を整え、当然、車両自体のコンディションにも自信があるわけですから、長期の保証がつけられる。これが『BCD』の直輸入システムです。かつての中古並行車のイメージを払拭するための独自システムです。
一企業として、こうした独自システムを作り上げたわけですから、扱うクルマの状態が良くなければ成立しないシステムです。そしてそれを継続し続けていくという義務も生じます。今後も慎重かつ忠実な車両選びを行い自信を持って販売していきたいと考えております」
BCDは、横浜店の他に阪神店があり、この2店舗が中心となっている。港の関係上、横浜店に一度車両が集まりその後BCD自社の陸送により阪神店に車両が運ばれるから、ここでも第三者が絡むことなく状態が維持されるのである。
なお、当然だが阪神店においても横浜店と同様のメカニカルな対応が可能であるから中部&関西地区の方々もBCDの恩恵を受けることが可能である。
最後に。写真を見てもらえばわかるが、現地を取材した写真にブラックボディに赤いデュアルストライプが入ったチャレンジャーが写っている。それは今回BCD車両として紹介したチャレンジャー6.4L、まさしくそれである。
この車両も、現地で買い付けられチェックを受け、ディーラー巡りを終えた後に、ちょうど輸送待ちする段階で我々の写真に収まった。そしてその後船で輸送され約一ヶ月後にBCD横浜に到着、再び我々の取材となったわけである。
ということで、「程度良好なアメ車が欲しければ真っ先にBCDへ向かうべき」と我々は何度も言うが、これを読めばその理由がきっとお分かりいただけると思う。