アメリカ的質実剛健さと日本的メカニズムの融合
日本における絶対数の少なさがもたらす優越感
文/石山 英次写真/石井 秋良
2021年にモデルチェンジして登場したニッサン フロンティア。米国ニッサンのミッドサイズピックアップである。
筆者は先日、BCD横浜店にてグレーのフロンティアをたまたま見かけて「めちゃくちゃカッコイイ」と思っていたが、その後BCD阪神店でBAJAストームメタリックのフロンティアを取材して、「やっぱりこっちがいいな」と翻意。
フロンティアの製作コンセプトは「仕事とアドベンチャーのどちらにも活躍するモデル」らしく、フロンティアのボディカラー・BAJAストームメタリックはそのアドベンチャー的要素をめちゃくちゃ強調しているし似合っている。
ここ数年あらゆる業界で注目されているミリタリーテイストであるが、フロンティアのBAJAストームメタリックは、そんなクルマ的ミリタリーを気取るのに最適な存在ではないか。とにかくめちゃくちゃカッコイイ。
この型のフロンティアは2021年9月に2022年モデルとしてデビュー。ボディデザインは、ニッサンを象徴するモデル・「ダットサントラック・ハードボディ」からの着想をベースにアグレッシブかつモダンなデザインに仕上げられ、オンオフどちらにも対応するメカニズムを搭載している。
国内日産の新型車たちはどれも丸みを帯びたデザインが中心だが、米国ニッサンのフロンティアは角張ったタフなデザインに仕上げられている。
搭載されるエンジンは、90%以上が新設計となる3.8リッター直噴V6エンジンで310psを発生させ、これまた改良された9速ATと組み合わされる。
ミッドサイズピックアップのバリエーションは、キングキャブは6フィートの荷台を備えた4×2及び4×4、S及びSVグレードが設定され、クルーキャブは4×2及び4×4、S及びSV(SWB&LWB)グレード、PRO-4X(4×4のみ)及びPRO-X(4×2のみ)が設定される。クルーキャブモデルはSV LWBのみ6フィートの荷台を備え、それ以外は5フィートの荷台となる。
一方インテリアは実用的かつモダンな雰囲気を追求しており、7インチのフルカラーインフォメーションディスプレイ付きメーター、センターディスプレイには9インチカラータッチスクリーンを搭載。高性能フルオートエアコンなどを装備し、快適性を高めている。
また遮音材の追加やフロントドアの遮音ガラスによって、車内に入り込むノイズを低減。疲労感を軽減させるゼログラビティシートによって、快適に長距離ドライブを楽しむことが可能である。
要するにこの段階(2021年9月の発表時)で、すでにモデル末期となっていたトヨタ タコマやホンダ リッジラインとは別格の洗練性が与えられているのである。
取材車両は、2022年型フロンティア、クルーキャブPRO-4X(4×4)、走行1.4万キロのBCD車両である。
BAJAストームメタリックの個体にはビルシュタインのオフロードショックが装着され、オフロードステップレール、トノカバーといった必要不可欠なパーツが装着されており、インテリアもブラックベースにオレンジのステッチが組み合わされた仕様と、個性が強調されたモデル。
しかもBCD車両であるから、想像以上にヤレ感のないクリーンな個体であり、非常に好感が持てる。
プラスしてフロンティアのフロントマスクの印象が非常に良い。凛々しさと堅牢さとアグレッシブさを見た瞬間に感じさせる力強いフロントフェイス。
とにかくタフな感じが伝わってくるし(実際の剛性感も非常に高いというし)、BAJAストームメタリックとの相性も抜群に良いし、それでいて室内空間が洗練されていて装備も充実しているから所有感も満たされる=すなわちアメリカ的な質実剛健と日本的緻密なメカニズムの融合である。
冒頭にも記したが、ミリタリーやアドベンチャー、もしくはアウトドアといった流行りの中で主張の強い存在は間違いなくジープ ラングラーなのだろうが、ニッサン フロンティアはまた違った方向からそうした流行りを満たすことが可能な存在だと思う。
同時に日本における絶対数の少なさがもたらす優越感も味わえるだろう。
ということで、ニッサン好きはもとより、人とはかぶりたくないレア物好きな方にも最高の存在ではないかと思う。
こうした数の少ないレアな存在とはいえ、BCDならオリジナルの購入プランが存在するから買いやすさを与えてくれ、購入後のアフターへの不安もないから、レアだからこその不安や不満を感じることはないのである。