BUBU × AMESHA WORLD
“BUBU×アメ車ワールド” 2018 ダッジ チャレンジャー T/A

積極的に投入されたバリエーションモデルの1台

“BUBU×アメ車ワールド” 2018 ダッジ チャレンジャー T/A

ベースのチャレンジャーをより輝かせる歴史的モデル

文/石山 英次写真/古閑 章郎

現行型チャレンジャーはいつまで続く?

いきなりだが、現行型ダッジ チャレンジャーはいつまで続くのか。この形のままずっと続くのか。2008年に登場した現行型はすでに12年のモデルサイクル。普通に考えて長い。いや、めちゃくちゃ長い。

これまで次々とラインナップを増やし、途中途中で限定モデルを登場させることでモデルチェンジを遅らせつつも魅力は絶やさずに、今なお販売を継続している。ある意味ちょっと呆れつつも、FCAの商売上手な部分には拍手喝采である。

しかもだ。まだまだ日本国内でも売れているというのだから驚きである。今回取材したBCDでは、今年初めの段階では日本全国に15台以上のチャレンジャーが在庫されていたが、取材当日現在で残り2台にまで減っている。そのうちの1台を取材していたのだが、驚くことにその取材車もその当日に売れてしまったというのだからビックリである。

今なお続くチャレンジャーブーム。もちろんベースとなった70年代チャレンジャーの歴史的インパクトの強さもあるのだろう。なんせ過去のチャレンジャーは「たった5年程度の存在」だったにもかかわらず、今だに与えるその影響力はめちゃめちゃ凄まじいのだから。

だが。個人的にはそれだけではない、と思っている。現行チャレンジャーがもたらすデザイン的インパクトには、現代の他の車両からは得られない圧倒的な強さがあるわけで、さらに現行型に乗っている方々のすべてが、旧70年代のチャレンジャーに興味があったわけではないとも思っている。

すなわち、現行チャレンジャー自体の魅力が、旧モデルを超えてしまっている。=現行型が自立し、自らの魅力で売っているという理屈である。

車両イメージサテンブラックのボンネットフードと「T/A」デカールが純正装備されており、ルーフやリアデッキリッドもブラックで統一されている。「T/A」は伝説のモデルだけにデカールだけでも雰囲気が異なる。
車両イメージ全体的にありがちなカスタマイズとも言えるが、メーカー純正のT/Aとしてトータルバランスに優れたラインナップと評価できる。ホワイト&ブラックのコンビネーションも素敵だ。
車両イメージ余談だが、こちらが伝説の旧T/A。フード上のエアベンディングシステムが特徴。レースのホモロゲマシンだった。

バリエーションモデルとして伝説のホモロゲモデルが登場

これだけバリエーションが多く、さらに限定モデルが乱立し、くわえてATやMTといった個体も日本に持ち込まれているというのだから、「チャレンジャーの次に、また別のチャレンジャーに乗り換える」ということが続けば、今のような販売状況の理由もある程度想像がつくのである。

で、そんな中で数多く販売されていたバリエーションモデルの1台、T/Aを取材した。T/Aとは、旧チャレンジャー時代にあった伝説のマシンと言われる存在。その雰囲気を現代のチャレンジャーに当てはめたモデルである。

1970年に登場したダッジ チャレンジャーは、その年のSCCAが主催していたチャンピオンシップレース、通称トランザムレースへのワークス参戦を決めていた。

このSCCA(スポーツ・カー・クラブ・オブ・アメリカ)主催のレースは当時、マスタングやカマロといったマッスル市場の販売成績に大きな影響をもたらしており、マスタングやカマロ追撃の挑戦者として登場したチャレンジャーもその恩恵を受けるべく、シリーズワークス参戦を余儀なくされたのである。

で、そのレース用ホモロゲーションモデルとして誕生したのがチャレンジャーT/Aだった。T/Aとはまさしく「Trans America」の略である。

当時搭載されたエンジンは、340キュービックインチのV8に3基の2バレルキャブレターで290hp、最大トルク340lbft(実際のレースには排気量制限がありディチューンエンジンが搭載された)。

トランスミッションはMTとATが用意されMTに装備されたピストルグリップが有名である。

車両イメージT/Aサイドラインがボディに貼られている。全体的にブラック系の装飾でまとめられている。
車両イメージこの当時はヘルキャットのみに装備されていたヘッドライト横のエアスクープが標準採用されている。ヘルキャットは一眼だが、T/Aは両サイド二眼ともにスクープが装備される。
車両イメージホイールは20インチにインチアップされたブラックフォージドが装備される。

T/Aモデルの存在感は現行型でも大きい

またボディには専用のFRPフードにボディストライプ、サイドエキゾーストが特徴だった。

なおこのT/A、レース成績は最高位で3位という実績のみで当初の目論見通りにはいかず、ワークス参戦も初年度のみの一年だけだった。というわけでこのT/A、一年のみの限定車両ということで、今となっては伝説のマシンとして語られることが多いのである。

で、そういう過去の逸話を持つマシンを積極的に復活(もしくは名前を使用)させてきたダッジは、2017年にダッジ チャレンジャーT/Aを登場させた。

ベースとなるグレードは、R/Tの5.7リッターV8とSRT392の6.4リッターV8HEMIであり、可能な限り過去のT/Aを彷彿とさせるデザインと装備で満たされている(392のみ「T/A392」と表記される)。

車両イメージ搭載されるエンジンは5.7リッターV8。基本的なスペックはノーマルモデルと同一。370hpを発生させ8速ATと組み合わされる。
車両イメージ現行モデルと同様のインテリアを有する。
車両イメージ8速ATの搭載は、チャレンジャーの走りを変えた、とまで言われる存在。なので、積極的にATを選ぶ方が増えている。
車両イメージ過去何度も試乗してきた5.7リッターV8搭載のT/A。8速ATの組み合わせがこれまで以上にチャレンジャーを積極的に走らせる。

日本でT/Aを入手できるショップは限られる

この新T/Aには、サテンブラックのボンネットフードとフードピン(オプション)が装備されており、ルーフやリアデッキリッドもブラックで統一されている。もちろんサイドストライプもブラックである。また標準よりも1インチ大きいモパー製20インチホイールもブラックで統一されている。

一方ヘルキャットに装備されていたヘッドライト横のエアスクープがT/Aにも採用されており、アクティブエキゾーストシステムと同様に吸排気系にチューンが施されている。とはいえパワー数値に変化はないが、固有の装備としては嬉しい限りである。

なおT/A392は、392ベースのサスペンションやホイール、ブレンボブレーキで構成されている車両にT/Aパーツが装着されている。

車両イメージインテリア等に大きな変更はないが、ホワイトメーターが採用される。
車両イメージ反応の良いパドルシフトが装備されるから積極的に楽しめる。
車両イメージ常に好印象のシート。ホールド性と座り心地が両立された絶品の純正シート。
車両イメージ街中をゆっくり走っても面白い存在。今から購入して10年乗ってもその価値は減らないだろう。

購入後にいじる必要を感じさせない

で取材したT/Aは、2018年モデル。5.7リッターV8エンジン搭載の8速ATモデルである。走行3,900kmということだから、ほぼ新車と言ってもいい状態。この後もしばらく慣らしをした方が良いレベルの走行距離である。

ボディカラーは安定のホワイトで、じつはチャレンジャー系のホワイトは意外に少ない。ブラック系が圧倒的に多く、その他はマッスルカーらしい原色カラーが多く、個体としてのホワイトはあまり見かけない。特に2015年以降の後期型では。

聞けば、2015年以前のモデルではチャレンジャーでも「白&黒」が圧倒的に多く、一転2015年以降ではモパーらしいカラフルなカラーが多くなっているという。

だからそういう意味で2015年以降の後期型のホワイトは逆に少ないと言われているのである。

くわえてT/Aでは、ボンネットフード以降がブラックでまとめられており、ボディサイドのT/Aラインとのマッチングも良好。

チャレンジャーに関して言えば、こうしたデコレーションがあればあるほど雰囲気が増す感じがするし、そうしたバリエーションモデルや限定モデルのデコレーションが施されていれば、購入後に自らチューンする必要もないくらいだから一石二鳥であり、積極的にオススメだと思っている。

車両イメージブラック系でまとめられるボディだけに、チョイスするボディカラーよって印象が異なる。ホワイトにブラックもよく似合う。またブラックボディだとオールブラックとなりそれもいいかもしれない。
車両イメージ過去にはご覧のようなオレンジも販売されていた。
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