D車では存在しない高年式のクーペをBCDで
セラミックマトリックスグレーメタリックにも注目
文/田中 享写真/古閑 章郎
いきなりだが、筆者がC7を購入するなら断然クーペだ。齢50も近くなるとクルマに求めるものも変化し、スピードに対する興味が薄れてくる。だが、男として常に華やかなクルマには乗っていたい。
同時に、筆者はかつて2000年型C5クーペの4年落ち車両を購入し、その後12年9万キロ乗っていた経験があるから、「いつか再びコルベット」という思いもある。しかもFRのコルベットに。だから狙いはC7のクーペ。
とはいっても、ひとつだけこだわりがある。それはボディカラー。過去C5を購入した時はシルバー(ブラックインテリア)を購入。
だが、そのあと「ブルーが良かったな」ともの凄く後悔した記憶がある。が、2004年当時はそれほどC5が市場に流通していなかったから選ぶべきタマも少なかった。
だから今、C7をチョイスするなら断然ボディカラーにはこだわりたい。個人的な好みを言えば、ブルーメタに白いインテリアが第一候補だし、昔のようにシルバーを選ぶなら赤いインテリアがいい、それにホワイトはありきたりだが、一転インテリアがベージュになると俄然上品になり、それもまた悪くない。
が、今回見たセラミックマトリックスグレーメタリックは、これまで実車を1台も見たことがなく初見だったが、C7によく似合う抜群のカラーだった。
聞けば、このカラーは正規ディーラー車の通常カラーラインナップには存在せず、かつて正規ディーラーで販売された限定車『カーボン65エディション』に唯一採用されたカラーであり、それは日本には8台販売されたのみという。
この車両はBCDが直輸入した車両だから、カラーだけで言えば日本に9台目となるセラミックマトリックスグレーメタリックということになる。
ちなみにこのC7クーペは2018年車のAT車でZ51仕様となるが、この年式になると日本の正規ディーラーでのC7の販売は実質GSのみとなっており、こうした高年式のC7クーペのD車はほとんど存在しないと言われいてる。だから、アメリカ直輸入のBCDならではのレアな個体とも言えるわけで、非常にそそられる。
しかもクーペ3LTベースのZ51パフォーマンスパッケージがベースとなっており、ブラックペインティッドホイールとカーボンフラッシュミラー&リアスポイラー、エクステリアエンブレムがブラックに統一されており、グレー&ブラックのコンビネーションがじつに大人っぽく品がある。トータルの質感が何倍にも上がった感じが伝わってくるのだ。
なお、Z51装着車には、パフォーマンスパーツを含むオプションパッケージが装着されており、パフォーマンスマフラーによってノーマルエンジンパワープラス約10hpとなっており、エンジンオイル冷却にもドライサンプ方式が採用されている等の違いがある。
すなわち、搭載される6.2リッターV8LT1エンジンは、通常460hpを発生させているが、この車両は470hpを発生させている。
ご存知の通り、C8コルベットはミッドシップに生まれ変わり、足回りもコイルオーバーのショックが使用されている。もちろん、そういったC8に興味を持つのは当然だし、購入予約された方の気持ちもよくわかる。
ただ、個人的に「まずはC7」、という考えが常にあるから、「V8OHV、FR、横置きリーフ」といったコルベットに乗ってみるべきだと思うし、あえてこの型式にこだわってきたC7開発陣のプライドに一度は触れてみるべきだと思う。
その上で、今回取材したような個性的かつレアなボディカラーは自己主張するためには必須であり、是非長きにわたり、毎日の贅沢な足として活躍させて欲しいと思うのである。
まったくの余談だが、コルベットを日常的に使うことが可能なら、是非ルーフを取って乗ってみて欲しい。最初はめんどくさいかもしれないが、ルーフがないだけで乗降性が抜群に良くなるし、何よりめちゃくちゃカッコイイから。